歴史の授業開始 中学受験生は漫画「日本の歴史」を読むべきか?

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中学受験生にとって小5の秋は、社会の「歴史」という新たな分野を学ぶ時期です。小学校でも5年間、地理ばかりを学んできた小学生にとって、社会が得意な子にとっても苦手な子にとっても身構える存在です。そして小学生の歴史の学習の必須アイテムとも言えるのが漫画の日本の歴史。複数の出版社から販売されていますが、どれを、どのように活用すればいいのでしょうか?中学受験生にとっての漫画 日本の歴史について解説します。

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漫画日本の歴史のメリット

中受の歴史は、小5秋から短期間で一気に学習する

中学受験生にとって歴史は、非常に労力の必要な分野です。
例えば、SAPIXの場合、9月に歴史の学習を開始し、1月までに現代史までを急スピードで学びます

SAPIX小学部|有名中学を中心に高い合格実績を誇る進学教室
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新小6になる2月からは約3か月かけて、政治・経済・外交などのテーマごとに「スパイラル方式」で再度学習することになりますが、歴史は地理以上に暗記のウェイトが大きい分野。筑駒の問題のように、歴史でも資料の読み取り問題や読解問題はたしかに存在しますが、それ以上に覚えなければいけないことが大量に存在します。
中学受験において、地理・歴史・公民の出題割合は一般的に4:4:2です。学習習慣が身についた小6で3か月ほどかけて学ぶ公民に比べて重要度は非常に高いですが、地理ほどじっくり学ぶ余裕はありません。小4から中学受験対策を本格化している受験生にとって小5の秋は折り返し地点になります。いかに効率的に学習するか、机に向かう時間以外を含めて、いかに受験を意識した生活を送るか、大人の側が導いていく必要があります。

歴史に慣れ親しみ、ストーリーを学ぶ

そして、歴史という新しい分野に慣れる頃には、中世・近代とどんどん進み、苦手意識を抱えてしまっては、大きな失点につながります。
例えばSAPIXでは9月に歴史の学習をはじめて、12月には江戸時代や明治時代に到達します。それには意味があって、まずは猛スピードで負荷をかけながら歴史全体の流れを把握させ、政治史や外交史、文化史などのくくりで改めて学び直すことで理解が深まることを期待しています。まず大切なのは「歴史の流れ」を頭体に落とし入れること。流れと言っても、古代・中世・近代といったおおまかな流れだけでは事足りず、平安時代から鎌倉時代、鎌倉時代から安土・桃山時代といった歴史の転換期の「ストーリー」の理解が不可欠です。
その意味で、テキスト以外のアイテムを通じて歴史に親しむことは非常に重要です。
漫画 日本の歴史のようなものは、できるだけ早い時期、小3や中学受験の勉強を本格的に開始する小4ごろから、親しんでおくのがベターではあります。低学年・中学年の頃から、漫画や伝記、またNHKの歴史秘話ヒストリアのような番組で「歴史」というものに触れている子は、歴史に対するアレルギーが格段に少なく、有利に学習をすすめる子が多い傾向あります。

もちろん歴史に親しんでいることが成績に直結するわけではありません。しかし、歴史好きな子に歴史が得意な子が多く、自然好きな子に生物が得意な子が多いというのは事実です。

現実的には、皆が早い時期から歴史に親しんでいるわけではなく、実際、中学受験塾で歴史の学習が始まる9月に漫画日本の歴史をシリーズで購入される方も多くいらっしゃいます。地理に関しては、低学年のうちから都道府県名を漢字で書けるようにしたり、桃太郎電鉄などのゲームを通じて親しんでいるというお話はよく聞きます。中学受験前に、受けた塾通いを始める前に少しでも基礎的な知識を身に着けさせよういう考えの方は多いのですが、歴史に関してはタイミングが難しく、塾通いの前の予習というのはあまり一般的ではありません。
小6になってからは余暇の時間も減り、社会や理科の時事問題にも関心を持ちたい時期に差し掛かるので、6年生にはおすすめできないのですが、小5のいまのタイミングは、勉強以外の時間を比較的確保できる最後のチャンスです。歴史の勉強に役立つものなら、多角的に活用したいものです。

テキストで学ぶことで漫画への興味も高まる?

小5の夏までに漫画日本の歴史に触れてこなかった方についても、この時期に漫画を読むことのメリットはあります。

1番のメリットは、塾のテキストでポイントを絞った学習をすることで、漫画のストーリーも頭に入りやすい、それが歴史への興味やテキストの理解につながりやすいことです。テキストと漫画の相乗効果が期待できます。

漫画日本の歴史にもとからはまる子どもならそんな、歴史に興味を持ってほしいという心配は不要です。
しかし、体感として半数以上の子は、塾で歴史を学び始めた頃には歴史にちょっとした壁、身近でない分野だという拒否感をもっています漫画で歴史に親しんでほしいというのは大人の側の理屈で、例えば角川まんが学習シリーズ「日本の歴史」で15冊という漫画とはいえ膨大な「お勉強」につきあわされるのは嫌という子どもも少なくありません。実際、低学年のうちに購入したにも関わらず、本棚に置かれたままという方も多いと思います。
そういった子どもでも、塾でポイントをおさえた学習をすると同時に漫画に目を通すことで、重要事項と歴史の流れを同時に理解しやすくなり、学習が効果的に進むという相乗効果が期待できます
受験勉強が本格化している小5の秋・冬でも漫画日本の歴史を読み始めるのは遅くありません。むしろ、考えようによっては、小5の秋は漫画日本の歴史の読み始める時期として非常に適しています

漫画日本の歴史のデメリット

必ずしも史実に忠実ではない

ただし、漫画である以上、その扱い方には注意が必要です。
漫画の日本の歴史は、主に小学生の学習用ということもあり、基本的には史実に忠実に作られています。しかし、人物の描かれ方などは、必ずしも史実通りとは限らず、「解釈」が加えられている部分は多面にあります
また、学習用とはいえ、多くのシリーズは受験対策として描かれているわけではありません。ですので、中学受験という観点で言えば、まったく役立たない部分が多くあります。隅から隅まで読み込む教材としては適さないということです。

あくまで、歴史に興味を持つ、また歴史の大きな流れを掴むためとして活用してください。

実際に、ツイッターでは、「歴史漫画について、先生より絶対に読むな! 受験には役に立たない!」という話があったというツイートを見かけました。個人的には、勉強に興味を持てるものは排除すべきではなく、まったく役立たなかったり、その知識が害になったりすることはあまりないので、「絶対読むな」とは思いません。むしろ興味があるなら読むべきだと思います。

ただ、デメリットを踏まえたうえ、必要以上に漫画を読むことを強要しない、漫画を読んだら成績が上がるとは思わないことが大事です。歴史に限りませんが、中学受験に直結する知識はテキストから学ぶのが最も効率的です。

おすすめの出版社は?

ところで、中学受験を前提にしたときに、もっとも適している出版社はどこなのでしょうか?

巷では、集英社が中学受験対策としてはもっともポピュラーです。

集英社コンパクト版『学習まんが 日本の歴史』好評発売中! どこでも読める!いつでも読める!|集英社
どこでも読める!いつでも読める!『集英社コンパクト版学習まんが日本の歴史』好評発売中!

各社の比較は別稿に譲ろうと思いますが、集英社は、内容が中学社会レベル、すなわち中学受験のレベルに近いと言われています。また、集英社は近現代史のウェイトが大きく、中学受験の傾向ともマッチしています。
特設サイトでは、試し読みもできますので、ご覧いただければわかりますが、入試に出題されるようなキーワードは太字で示されています

コンパクト版 学習まんが 日本の歴史 13

たとえば13巻の冒頭では、「王政復古の大号令」「戊辰戦争」「五箇条の誓文」などのキーワードが太字で表示されています。いずれも、SAPIXのコアプラスや、日能研のメモリーチェク、また四谷大塚の四科のまとめにも掲載される最重要ワードです。
ただ、ここで気をつけたいのが、すでに述べたとおり、あくまで漫画はテキストの代わりではないということです。
細かいことですが、集英社の日本の歴史で「五箇条の誓文」とされているもの、SAPIXでは「五箇条の御誓文」、日能研では「五か条の御誓文」「五か条の御誓文」というのが第一の表記とされています。仮に入試でこのワードが問われた場合、「御」がついてもつかなくても、「箇」が漢字でもひらがなでも正解になるはずではあるのですが、漫画とテキストでは、このような用語の微妙な違いが散見されます。
1つ1つどちらが正しいのか、どちらで覚えてもいいのか確認するのはおっくうですし、子どもは混乱しがちです。大人が細かく指導する必要があるようでは、あまり漫画の意味がありません。また、塾によっては、正確な記憶を促す目的で、塾で教わった以外の表記については不正解とみなされることもあります。

漫画で覚えることも有意義ではあるのですが、受験対策はあくまで塾のテキストでやることをルールとしておく必要があります。

早い段階から興味を持てるなら、どんどん読みましょう

このように、デメリットや注意しなければいけないことはあるにせよ、漫画日本の歴史は、歴史の学習にはプラスに働く面の方が大きいというのが私個人の意見です。
歴史に興味を持つという意味では、小5の秋よりも前に読み始めるに越したことはありませんが、読まずに塾での歴史の学習が始まってしまったという方も、歴史を苦手にしないことはとても大事です。これまで社会が苦手だった子も、歴史という新しい分野に入ったタイミングは、気持ちを切り替えるとともに、社会を得意科目にするチャンスでもあります。
多くの中学受験生、さらには全国の小学生にとって必携とも言える漫画日本の歴史。
ぜひ活用して、受験勉強もときに楽しみながら乗り切ってください。

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