偏差値ってなに?
志望校の偏差値は65だけど、60しかない
そんなふうに、偏差値に一喜一憂されている皆さん!
塾の先生は、必ずしもあなたの偏差値を気にしていないですよ!!
気にしているのは、偏差値よりむしろ…
偏差値を正しく理解して、志望校合格を手に入れましょう!!
偏差値の仕組み
まず、偏差値はどうやって出すのか、簡単に説明します。
偏差値を出す数式は、このとおり。
「標準偏差」とか知らない言葉も出てきて、なんか難しそうですが…
平均点より高ければ50より大きく、低ければ50より小さい偏差値になります。
では、標準偏差とは何なのかというと、データの散らばり具体を表す指標の一つです。
散らばり具合が大きいと、標準偏差は大きくなり、高得点をとっても偏差値は高くなりません。
塾の偏差値が、どのように算出されていのか、具体例で見ていきましょう。
塾の偏差値はどうやって決まる
同じ得点でも違う偏差値
では、テストを受けた際の偏差値、どうやって決まるのでしょうか?具体例で見ていきましょう。
たとえば次のようなテスト結果の場合です。
順位 | 氏名 | 得点 | 偏差値 |
1 | Aさん | 100 | 64.86 |
2 | Bさん | 90 | 61.56 |
3 | Cさん | 80 | 58.26 |
4 | Dさん | 70 | 54.95 |
5 | Eさん | 60 | 51.65 |
6 | Fさん | 50 | 48.35 |
7 | Gさん | 40 | 45.05 |
8 | Hさん | 30 | 41.74 |
9 | Iさん | 20 | 38.44 |
10 | Jさん | 10 | 35.14 |
平均点 | 55.00 | ||
標準偏差 | 30.28 |
受験生の得点は、最下位の10点からAさんの100点までまんべんなく散らばっています。
100点をとって1位のAさんの偏差値は64.86になっています。標準偏差は30.28、これは大きめの数字です。
では、同じ10人が受けた別のテスト結果を見てみましょう。
順位 | 得点 | 偏差値 | |
1 | A | 100 | 76.48 |
2 | B | 60 | 52.94 |
3 | C | 55 | 50.00 |
3 | D | 55 | 50.00 |
5 | E | 50 | 47.06 |
5 | F | 50 | 47.06 |
7 | G | 50 | 47.06 |
7 | H | 50 | 47.06 |
9 | I | 40 | 41.17 |
10 | J | 40 | 41.17 |
平均点 | 55.00 | ||
標準偏差 | 17.00 |
こちらのテスト、ほとんどの受験生が40点から60点の間におさまっています。
平均点は、さきほどと同じ55点です。
しかし、Aさんの偏差値は、ダントツの100点です。偏差値は76.48。さきほどより10以上も高くなっていますね。
2つのテスト結果は、ともに平均点が55で、Aさんの得点と平均点との差は同じなのですが、散らばり具合が小さいため、標準偏差は、先の結果と比べて小さい17.00となっています。
団子状態のテストで、一人ダントツ突き抜けていると、偏差値は高くなるのです。
順位が同じでも偏差値は異なりますので、2位のBさんの偏差値も、2つのテストでは全く違う結果になります。
・同じ平均点・得点でも、受験生の得点の分布によって偏差値は変わる
なぜ、塾は偏差値を使うのか?
塾のテストを受けると必ずついてくる偏差値。なぜ使われているのでしょうか?
そのわけは…。
・テストごとの自分の位置を比較しやすい
塾やテストによって違う母集団
- 偏差値50は平均点ですから、レベルが高い塾のテストでは、偏差値は低く出がちです。偏差値50でも十分に学力があるということもあります。
- 同じ塾のテストでも、上位の生徒だけが受験している試験では、平均点も高くなり、差がつきにくくなりますから、高い偏差値をとるのは難しくなります。
たとえば、「開成模試」という模試があったとしたときに、その受験生は、そもそも開成を志望するような上位の生徒中心に受験するはずです。
こうした試験で偏差値50でも、十分合格する可能性はあります。
「毎年、この塾では何人くらい合格している、そして、今回自分は何位だった」と、偏差値よりも順位のほうが合格の目安になる場合もあるのです。
ということを覚えておきましょう。
ここまで自分の偏差値の知り方について説明しました。次は学校の偏差値です。
学校の偏差値65ってどういう意味?
学校の偏差値は80%偏差値。つまり、20%不合格偏差値です!!
では、学校の偏差値は、どう決まるのでしょうか?
大手の塾では、合格率80%の偏差値を学校の偏差値としています
たとえば、慶應義塾中等部の偏差値は、おおむね次のようになっています。
四谷大塚 | 64 |
サピックス | 58 |
日能研 | 64 |
単純に比較すると、サピックスの偏差値が一番低くなっていますね。
サピックスの母集団のレベルが高いため、平均が高く、低い偏差値でも合格する確率が高いということです。
この偏差値は、あくまで参考で、同じ塾でもテストごとに偏差値は異なるのは注意が必要です。
それぞれの塾の学校別偏差値は、四谷大塚なら「80偏差値」、日能研は「R4偏差値」など、名称が異なりますが、基本的に「合格率80%」の偏差値を掲載するのが一般的です(四谷大塚は50偏差値という、合格率50%の偏差値も別途公表しています)。
つまり、四谷大塚で64の偏差値があれば、慶應中等部に受かるかというと、合格率は80%。20%は合格しないということです。捉え方によって、80%合格偏差値とも、20%不合格偏差値ともなるのです。
偏差値はあくまで合格の目安、本当に受かりたいなら、さらに高い偏差値を目指していく必要があるということです。
「80%」、必ずしも統計に基づいていません
そして、さらに注意が必要なのが、この80%という数字自体も、必ずしも正確とはいえないのです。
ここでいう「合格率80%」というのは、「その偏差値をとった前年までの合格者の80%が学校に合格した」ことを示しています。
しかし、
- 年によって母集団のレベルが100%一致するわけではない
- テストごとの母集団のレベルを客観的に算出するのは難しい
- 合格者数が少ない学校の偏差値の算出は難しい
- 受験者数が少ないテストでは、偏差値はゆがみやすい
などの問題があります。
もしかしたら、塾のレベルがあがって、平均点つまり偏差値50のレベルはあがっているかもしれません。
ある模試に、たまたま優秀な受験生が集まり、レベルがあがっていることがあるかもしれません。
それぞれの塾は、合格実績に基づき、模試の合格者の試験データを分析し、合格者の平均偏差値や、上位80%がおさまる偏差値のデータを出すことは可能です。
しかし、合格者数や受験者数が少ないと、そもそもデータの信憑性が下がることになるのです。
実際、学校の偏差値を決める作業は、どの塾も必ずしも客観的データだけに基づいているわけではありません。学校ごとの難易度を、時に勘にも頼りながら決めているのです。
さらには、問題の傾向が違えば、成績も変わってきますから、偏差値というのは、客観的とは言えないのです。
塾の先生が重視しているのは、むしろ順位
ですから…
実際、塾の先生たちは、偏差値を実はあまり気にしていません!!キリッ
偏差値は、生徒や保護者向けに説明するデータくらいの意味しかないのです。
偏差値は、複数の科目の得手不得手の比較や、自分の学力の推移を判断するのには適しています。
むしろ塾の中での順位や、どのクラスにいるかのほうが重視していたりします。
たとえば、開成中学なら、2020年には286人の合格者が出ています。
同じ日に麻布中学を受ける優秀な生徒もいることなどを考慮して、ふだんから男子の中で上位300位以内なら、ほぼ間違いなく合格するだろうといった具合です。
一方、筑駒は偏差値70で開成と3くらいしか違いがありませんが、100位以内でないと、合格はなかなか厳しいというように、偏差値よりも塾内の順位のほうが、長年の経験に照らして合理的な判断をしやすいのです。
結局、受かるの?受からないの??
偏差値は、自分の位置を知るにはもってこいの指標だけど、完璧でないということをご理解いただけましたか?
偏差値50が55になり、60になった!という学力向上の指針には向いています。
しかし万能ではありません。
そもそも1つの試験で、異なる出題傾向のすべての学校の合格可能性をはかるのには無理がありますよね。
自分の志望校が学校の偏差値が高くても、低くても、合格できるかどうかは別問題。
あくまで1つの指標として、受験勉強に臨むことが大切です。
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